いいのかな。
全然、いいんだよね。
どんなにゆっくり進んで、走ってもすぐに立ち止まっちゃって、
見てたらイライラしだすような道のりも、
悪いことではない。
人生なんて先は長いし、
後悔することなんてたくさんあると思うけど、
未来ではいい思い出になって、
「本当に馬鹿だったね」って、いつかは笑い話になるんだよね。
それなら、
全然…問題ない。
それがあたしたちなんだよ。
大野真白に、村野諒太は結局産まれてきてからもこうやってきたのかもしれない。
大丈夫。
案ずることはない。
『真白はね、真っ白なんだよ』
『真白は、まっしろ?おじいちゃん、わかんないよ』
『真白。私たちはみんな絵本なんだよ』
『えほん、好き!』
『そうか。それなら幸せだな?真白は好きなように自分に自分を書き込むといい』
『自分に……え?』
『真っ白をあげるから、自分色に染めて自分の好きな物語を描きなさい。
そういう意味を込めたのだよ』
『おじいちゃん?』
『ハハッ。四歳児には少し、早かったかな』
『じゃあ真白は、おじいちゃんをたくさん描くね』
『お?お前は賢い子だな。何事にも怖じけず進んでいきなさい。
きっとお前なら世界一分厚くて、内容の濃い絵本を作り上げられるさ』
ねぇ、おじいちゃん。
今なら、全ての言葉が理解できたよ。
あたし、最高の絵本を作るから――――

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