あたしと、諒太が出会ったことが…。
本当に意味のないものだった?
そう聞かれてしまうと、素直に頷けない自分がいる。
だって、あいつがいるから…将ちゃんや、智春さんたちと仲良くなれた。
あいつがいるから、凌も明るくなった。
あいつがやってるから、サッカーだって詳しくなったし、ゲームが得意分野になったんだ。
例えばもしも、
あたしの隣に……
諒太がいなかったら、
こんなに不器用で強がりで………小心者のあたしが
恋を知ることなんて、絶対出来ない――
「幼なじみくんも、早く真白ちゃんの大切さに気づいてくれればいいのにね」
葵先輩は優しい音を出して、クラを吹きはじめた。
軽やかに、楽しそうにクラの上で躍る長い指があたしを安心させる。
葵先輩と高杉先輩に比べたら、あたしたちはやっぱり馬鹿なのかもしれない。
葵先輩も、短い時間で…それに高杉先輩と二人で解決した。
高杉先輩なんて葵先輩から離れるずっと前からその大切な存在だということに気づいていたのに―――。
あたしたちは、人の手を借りて
長い長い年月をかけながらゆっくり進んで行ってる。
片方なんて、あたしの存在価値が少しも見えてきてはいないんだろう。
でも、
それでも………―――

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