ちぐはぐ遠距離恋愛




ため息をつく。

隣の陵本が、あたしを不思議そうに見た。


「さっきから何してんの」

「遥菜にじっと見つめられてる」


陵本は振り向いて遥菜を見た。

顔を戻すと同時にあたしは同意を求める。


「ね?」

「確かに。めっちゃ見てる」

「やっぱり。しかもさ、勝ち誇ったような感じじゃない?」

「言われてみれば…」



陵本は顎に手を当てた。



そうなんだ。


遥菜、



あたしを見る目もおかしい。

なんだか、勝ち誇った感じで、

同情されてる気もする。



「気持ち悪…っ」



考えただけで身震いする。



どこか読めないあの子。


何を考えているのかわからなくて、

絶対裏がある。


だから何をされるかわかんないから嫌だ。



喧嘩とか嫌がらせとか、自分に対するものなら平気。

そんなの余裕で片付けられる。


でも遥菜は、悪知恵っていうのが働くやつだから…そんなことはしてこなさそう。


あたしの苦手な分野をついてくる。

例えば、友達を人質に取られたり…

それこそ、恋愛だったり……。


そうなったらあたしは手も足も出ないだろう。

自分が傷つくのはまだいいけど、関係のない人が傷つくのは絶対許せない。




お願いだから遥菜……。





(あたし以外の人に、手をだすなよ……)




授業中、密かにそう祈った。