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話は遡ること五年前。
あたしが三年生のときだ。
「……グア、ム?」
知らない言葉に首を傾げるあたし。
「そう!グアム!海の向こうにあるんだよ」
「海の向こう」
「諒太たちと行くかも知れないの」
「諒太とー?」
このころもあたしは好きだった。
だけど、何と言うか“特別な存在"という意味を持っていた気もする。
「いつ?」
「再来週の夏休みに入ってからだよ」
「夏休み…早く来ないかな」
でも、夏休みに入る前にそんな夢はあっさりと砕かれたのだった。
「ごめんね、真白ちゃん」
あたしたちに視線を合わせながら、諒太のお父さんが言った。
「グアム、行けなくなっちゃった」
この言葉には、あたしも凌も諒太も
「「「ええぇぇえ!!!」」」
と叫ばんばかりだ。
その後も『何で何で』の一点張り。
理由は、今回のグアム旅行は諒太のお父さんの会社関係で。
グアム旅行プランに沿って行くことになっていたけど…。
グアムの契約先が突然倒産。そのため、プランもパァになり…中止になってしまった、
というわけだ。
今なら理解できるけど、小学生のあたしたちにわかるわけもない。
会社が無くなっちゃったからって、何でグアム旅行に行けなくなっちゃったのか…。
まぁそんなこんなで、
あたしの人生初の海外旅行の夢は消え去り、
数日後にはあたしたちも忘れていたのが事実だった。
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