走ってもそんなに速さなんか変わらなくて、
『タッチー』
って笑いながらあんなに簡単に触れた背中。
そんな小さい過去を、
今必死に追いかけている。
走っても、走っても、走っても――――
どうしても、触れることができなくなってしまった。
できることなら、戻りたいよ?あの頃に…。
でも、
もしも今タイムスリップすることができた暁に
あたしは、
同じ失敗を繰り返すようなことないミチを歩くことができるのかな?
間違えずに、行ける?
残念だけど、
今のあたしには無理だよ。
あの頃に戻ったって、何をすればいいのかわからない。
だからあたしは、
後悔することしかできない。
ねえ諒太。
あなたと出逢って十数年が経った。
あんなに近くに居てくれた。
今も関係上、隣にいるのかも知れない。
だってあたしたちは、“幼なじみ"。
そうでしょう?
手を伸ばせば掴める――そんな距離なのに、実際は違う。
どんなに腕を伸ばしたって、隣にあるあなたの腕に触れることはない。
あたしの不器用な気持ちだってそう。
叶うことのない……
物事の筋道が通ってなくて、矛盾している。
言葉にするなら、『ちぐはぐ』
そう、これはまるでおかしな……
ちぐはぐ遠距離恋愛――――