足に力が入らない。

そのままあたしは、へなへなと地面に座り込んだ。




理解、できない。

頬に当たった感触だけが、あたしを支配する。

生暖かい……。




被害に遭った頬を両手で挟む。



「…………っ」



動くことを忘れたあたしは、ただただその場にペタンと座りつづけていた。




(…………?)



途中、視線を感じたあたしはおもむろに顔を上げた。


ただ一人、


あいつとだけ、目が合った。



「りょ…た……」


無自覚で、口から出る言葉。



諒太は一瞬だけ手を前に出そうとしたけど、すぐに引っ込めた。

不機嫌そうな顔で…あたしを見つめて。


「諒……っ」


そして至って普通にあたしに向かって歩きだした。

そんなことにあたしはホッとしてしまう。


だけど――――



しゃがみ込むあたしに手もださず、




声もかけず、




目も………合わさず、






あたしの横を何も無かったように通り過ぎた。





その瞬間、





あたしはこの世の終わりのような絶望感と、






孤独感を





感じていた。