「すみません。俺の拳を真白が避けきれなかったらしく、命中してしまいました」
あたかも、不慮の事故だと説明する先生。
師範は信じてなかったが、とりあえず頷いた。
「大丈夫か?真白」
先生がしゃがみ込む。
目が合うとニヤリと笑った。
(こいつ……ッ!!)
「げほっ、げほっ」
大人の容赦ない本気の突きをうけて平気でいられるわけない。
あたしは何も言えず、女子の先輩に手当てをしてもらった。
その後、師範に本当のことを話し、師範も先生を問い詰めたが…
「俺はやってない」の一点張り。
師範は、人生で始めて破門を下したが先生は納得せず
来る日も来る日も道場に通いつづけた。
そんな中であたしが練習できるわけもない。
あたしは退会を決め、
合気道の帯を外したのだった。
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