村野、じゃなくて。
諒太にあたしを取られる?
「…んなわけないですよ」
「でも」
「だってあたし、諒太からは……恋愛対象外です」
(あ、なんか言葉にしちゃうと実感湧いちゃうな)
ちょっと後悔。
でも、ホントのことか。
「何だ、それ」
「あたしもそう思います。でも、あいつにとって幼なじみは……」
言葉をなくした。
これ以上言ったら、涙腺がまた故障しそうで…
「本人…村野が言ったのか?」
「え?」
「村野のから直接聞いたのか?」
「あ、いや……友達から「そんなの信じるな」
「は?」
「あ」
高杉先輩は口を塞いだ。
「何で、先輩がそんなこと……」
「ゴメン。でも、」
「でも…?」
「好きな人には幸せになって、ほしいから」
そう言った先輩の顔は、何だか少女のような優しい顔だった。
下手したら、あたし以上に思春期の女の子みたいな。
あたしも、何か言わなきゃ……。
「あたしが習っていたのは、空手、合気道、総合格闘技です」
「え…?」
先輩の顔から赤みが引いた。
「お父さんが習っていたのもありましたが、本当の目的はあたしの護身用にでした」
「ご、護身用…」
「三歳から始めましたが、あたしにも元々その資質があったみたいで、成長が物凄く早かったんです」
「ちなみに、段は?」
「空手三段、合気道初段、総合格闘技一段です」
「から、て……三段?!」
「びっくりしますよね。師範達にも金の卵だって言われました」

![100日愛 [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)