ちぐはぐ遠距離恋愛




「喋り方男らしいねぇ」


(ブチッ…)


今度は結構大きくひびが入った。

拳を作って力を入れる。
(我慢我慢……)


「ま、そんなところも萌えるねー」

「よし、行こう」

「あ?」


腕を引っ張られ無理矢理立たせられる。


「ちょ……っ、離せよ」

「おっと、力強いねー」


あたしはその場を動かないように足に力を入れた。


「やめ…」

「やめない」


一人男が回ってきてあたしの背中を押した。


「はぁ……」


あたしはため息をつく。

(手は、上げたくなかったんだけどなぁ)


深呼吸をする。
だって


「こうなっちゃ仕方ないよね」


右足を思いっきり後ろに向かって振り上げた。


「ブホッ」


後ろに倒れ込む男。


「クリーンヒッ…」


それを横目で見ながらあたしは前の男にも同じ足を、


「トォ!」


蹴り上げた。

上手く顎に当たったらしく、あたしは自由になった手をブラブラさせた。


「バーカ」



そう言いながらあたしは振り向いた。



「あ゙……っ」



そこには、あたしの両側に転がる二人の男を見て呆然と立つ先輩がいた。



「ま、しろ……ちゃん?」

「は、はい!」

「これは、何?」

「こ、これは…そのぉ」



目を必死に泳がせた。

ヤバい………。
これはやり過ぎたかも…