キュッと小さな音をたてて彩夏が「はい終わり」と言った。
あたしは首に手をあて、「疲れた」と一言。
「ほら見て!」
彩夏はドレッサーの鏡を指差す。
あたしはそれにつられて目だけを動かした。
「は……?」
くそ長い髪の毛は器用に上の方で縛り付けてある。
頭が重くて痛い…。
「真白には高い位置のポニーテールが似合うと思ってた」
「だからって、あたしこんなのしたことないよ」
頭を動かすたびに揺れる尻尾の部分。
彩夏は大満足のようでニコニコしながら鏡の中のあたしを見つめる。
壁にかかっている時計を見ると十時を示していた。
(えっ……十時?)
「十時?!」
あたしの叫びとは裏腹に彩夏は「結構早く出来たな〜」と言う。
(ちょ、ちょっと待てよ?)
起きたのが 八時。
風呂上がったのが 八時半すぎ。
洋服着るのに手間どい、なんか着方に問題があったらしく…脱衣所で少々直され九時前。
そんで今が、―――十時??
(髪の毛触るのに一時間だと?そんなのあったらマ◯オの1面クリアできるぞ?)
「どうしたのー?」
のんきに聞いてくる彩夏。

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