――――「で?」

「はい?」



奈緒美がズイッと顔を寄せる。

あたしはその額を手で押し返した。



「だから店出てきた」

「なんてことを…」


奈緒美はやれやれと言った感じでため息をついた。


「てか、別にどうでもいいでしょ?あたしの恋ばななんて」

「よくないよ!」


奈緒美が机を叩きながら立ち上がった。


「だって好きじゃないし」

「彩夏ちゃんの言う通りだとウチは思うよ」


奈緒美が冷蔵庫からオレンジジュースを取り出しながら言った。


「新しい恋でも見つけろって?」

「うん。村野を忘れるにはそれしかない」

「でも…」

「今のうちにキッパリ自分の気持ちを整理したほうがいいよ」


奈緒美がオレンジジュースをあたしに注いでくれた。

頭を下げながら聞く。


「何で?」

「だって、来年には生徒が増えるんだよ?」

「あ……」



そう。

あたしは中学までも失う。

小学校と同じように合併してしまう。


校舎はあたしたちの校舎を使うから、来年からは合併先の生徒も入ってくる。



「村野は何だかんだでモテるよ?」

「う…」

「遥菜みたいにベタベタしだす女子だってたくさんいるよ?」

「分かってるよ」

「ヤキモチは、辛いよ?」

「ヤ、キモチ?」



奈緒美は頷く。