諒太の顔は強張ったままで…。
将ちゃんが出て行ったドアをじっと見つめていた。
張り詰めたような緊張感がとけたこととかが高まって、
溜まっていた涙がポロポロと落ちていく。
「ひっ…く」
「は?」
あたしの声に諒太がやっと振り向いた。
「な、お前何で泣いて…っ」
「ふ…ぇ…っ」
「お、おい…」
諒太の顔が心配するような優しい顔に戻った。
「どうしたんだよ」
「ひっ、怖っ……ぅ…」
怖かった。
ただただ、怖かった。
あたしの知らない将ちゃんだった。
将ちゃんが、将ちゃんじゃないようで…
あんなに優しくて紳士的だったのに……違かった。
幼なじみの将ちゃんじゃなくて、
“男の将ちゃん"だった。
「ふっ……うっ…」
「大野。おい泣き止めよ」
「ひっ……ひっ……」
「おい」
困ったように諒太がしゃがんであたしの視線にあわせた。
しばらくしても泣き止まないあたし。
そして、諒太の手が動いた。
グイッ
「っ………え?」
目に当てられていたあたしの右手は、諒太の両手の中にある。
「りょ……た?」
「大丈夫だから」
あたしの手を包む手にグッと力を入る。
(温かい……)
いつしかあたしの涙はピタリと止まっていた。
昔っからの方法だった。
諒太はあたしが泣くと、すぐに両手で手を包んで、
『大丈夫だよ』
って、言ってくれていた。

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