だけど諒太の位置からは触れてるように見えるのに違いなくて。
しかもあたしは言葉にならないから、将ちゃんの名前が途切れ途切れにしか呼べない。
「…ろ」
諒太が小さく口を動かした。
そして将ちゃんの衿元をぐっと引く。
「離れろ!」
(諒太?)
まるで焦ったような顔で将ちゃんをあたしから遠ざける。
「離せよ諒太。俺今から真白ちゃんと…」
諒太の手を振り払ってまたあたしの元に戻り、今度は首筋に手をかける。
「将ちゃん!!」
焦ってるのはあたしでもあって、このまま襲われちゃうんじゃないかと冷や汗が流れる。
しかも諒太の前で…。
将ちゃんの長い指があたしの太股に伸びて触れた。
知らない感覚にあたしは反応する。
「やだ…っ、しょ…ちゃ…」
わけもわからないまま涙が目に溜まった。
それと同時に諒太が将ちゃんを押した。
「…ぇ…?」
「近づくな。触れるな」
見たことのない顔だった。
何だか、怒ってるような……。
諒太はあたしのすぐ側に立って、将ちゃんを見下ろす。
「何だよ。別に俺が真白ちゃんとどうしようと勝手だろ?」
「ダメだ」
将ちゃんがその言葉を聞いてまたニヤリと笑った。
「なんで?」
「それは……」
諒太の言葉が途切れる。
自分の意志がわからないみたいに。
将ちゃんは立ち直して、あたしの頭をもう一度撫でた。
「怖かった?ごめんね」
あたしはというと首を振るのが精一杯。
「二人とも、もっと素直になればいいのに」
そう言って将ちゃんはあたしの部屋を出て行った。

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