子供の国


「ハ・・・チ?」
「逃げ切った・・・ぞ」
「え?え?」

混乱状態の遊時はキョロキョロ目を動かした。

「ハチ!?」
「ナッチャン」
「ハチ・・・お前降って・・・?」
「ナツ」

目を上下に動かし口をパクパクしている。

「あぁー・・・ちょい飛んできた」

シシッと笑うと棗の拳が頭上から落ちた。

「痛って!何だよ!?」
「危ねぇだろーが!!」
「そーよハチ!」
「ナッチャンまで・・・」
「かっこいい・・・」
「へ?」
「は?」

姫抱き状態の遊時が八平を見て呟いた。

「わ・・・悪いが俺はそーゆう趣味は・・・」
「ったりめぇーだ!」

何故か棗が応えた。

「それより・・・ハチ怪我は?」

捺喜が、眉毛を下げた。

「あー・・・だいじょーび!問題ないって」
「嘘こけ!足見せてみろ!」
「ほほホントだいじょーぶって!」

遊時をゆっくり下ろして笑って応えた。
でも、棗は不機嫌そうな目でジロジロ八平を見た。

「佐倉くん!大丈夫!?」

息を切らしながら担任の先生が八平に駆け寄って来た。

「前田先生・・・」
「怪我は!?」
「前っちだいじょーぶいっ!」
「・・・・はぁ・・・本当に良かった・・・」
「先生・・・」
「もう!佐倉くんこんなこと二度としないでよね!」
「は・・・はーい」

前田は八平の髪を撫でた。
まぁ、お前のせいだけどな。
すると、茲嶋が八平をひょいと持ち上げ俵担ぎをした。

「ちょっコーチャン!」
「前田先生を困らせるな悪餓鬼」
「う・・・っせぇ!」
「前田先生保健室連れて行きます」
「有難う御座います、助かります」

そのまま茲嶋は八平を担いで保健室に向かった。


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