「そういう問題じゃなく…、襲われたりしたらどうすんっすか」
「私を襲っても、利益無いよ~」
「先輩のこと狙う奴なんてその辺にゴロゴロいますって」
「そんな物好きいないよ」
「…とにかく、俺の後ろに乗って下さい!」
「あ、ありがと…」

私は荷台に乗って威智悟くんに掴まった。

「先輩、夜道の1人歩きは先輩が思ってる以上に危険なんっすから、無理しないで下さいよ?」
「…う、うん。ありがと…」

こうして威智悟くんと一緒にいると、ドキドキするけど凄く落ち着く。
威智悟くんの背中にそっと凭れた。

「そんなに落ち着きますか?」
「え?」
「俺の背中」
「うん…」

威智悟くん…、私、あなたのことホントにぞっこん大好きだよ…?
好きで好きで仕方ない…。

「好き…」

遂に声に出してしまった…!

「何か言いましたー?」
「ううん」

助かったー。声小さすぎてきっと聞こえなかったんだね。気を付けなきゃ。私の気持ちがバレちゃったらこれから顔会わせらんないよ…。

「はい、到着っす」
「夜遅いのに態々ここまでありがとう」
「いえ。態々何かじゃないっすよ」
「じゃ、気を付けて帰ってね」
「はい、さよなら~」
「バイバ~イ」

あなたの背中がこんなに愛しいのは何でかな…。
私は威智悟くんの背中が見えなくなるまで手を振った。



こうして高2の夏休みは終わった。