Strawberry Junior

浴衣のため、集合場所まで歩いて行った。
でも逆算が間違ったのか、ちょっと遅れてしまった。
皆もう揃ってる。

「皆、待たせてごめんね?」
「美寛、凄く似合ってるよ?」
「ありがとう。そう言う棗も似合ってるよ?」
「ありがとう」
「美寛先輩、可愛いっす」

きゃあっ!威智悟くんに褒めて貰っちゃった!

「先輩、顔がニヤけてますよ?」

優那ちゃんが耳打ちした。

「そんなことないっ」

「どうしたんすか?」

威智悟くんが不思議そうに見つめた。

「な、なんでもないよっ…」

イヤぁ…。そんな瞳で見つめないで…。
隣で優那ちゃんがクスクス笑ってる。

もうっ。なんで私、こんなに後輩に弄られなきゃなんないのっ!?

「じゃ、こっからは別行動っつーことでっ♪」
「えっ!?」

私が質問する間も無く、
恋人繋ぎをした棗カップルが人混みの中に紛れていった。

「先輩、私達も行きますんで♪」

優那ちゃんカップルも行ってしまった…。

こ、こんなはずじゃ…。

「い、行っちゃったね…」

威智悟くん、迷惑してんじゃないの…?

と思いながら、
恐る恐る威智悟くんの顔を覗き込んだ。

「そうっすね。これからどうします?」
「これからって言ったって…」

威智悟くん、私なんかと2人きりになるくらいだったら、帰りたいんじゃないの…?

「なんかしたいのありますか?」
「威智悟くんがやりたいのあったらなんでもいいよ?」
「んー…。あ、あれはどうっすか?」

威智悟くんが指を指したのは射撃だった。

「いいと思うよ…?」

威智悟くん…、私といるの無理してるんじゃないかな…。

「行きましょ♪」



…あっ!

「どうしたんすか…?」
「手…」

私の手は威智悟くんによって掴まれていた…。

「だって、先輩小さいからはぐれそうじゃないっすか」
「小さくてすみませんねぇ」

とか表で言いながらも、掴まれたところがなんだか熱くて…ドキドキしちゃう…。

「俺にとってはベストサイズっすけどね?」

ドックン…。

こんな、ちょっとしたことでも私の心臓は反応してしまう…。

鎮まれ!ドキドキ!