Strawberry Junior

「俺、普通っすよ?」
「普通だったらこんな意地悪しないよおぉ…」
「良いじゃないっすか」

威智悟くんはそう言って行列に並んだ。

「やっぱ訂正。威智悟くんはドS!!こんな行列に並んでまで意地悪したりしないよっ!!」
「もうSでもMでもNでもこの際どうでもいいっす」
「目的は何ー?」
「だから、罰ゲームっす♪」
「もーっ!!」


私が喚いてる間に到頭順番が来てしまった…。

「入りますよ…?」

威智悟くんは私と手を繋いでくれた。

ドキッ…。

でも…ちょっと安心。

入った瞬間…

ギイイ…

「ぎゃあああああああああっっっっっっ!!!!!!」

私は咄嗟に威智悟くんの腕にしがみついた。

「もしかして、お化け屋敷初めてっすか?扉が勝手に閉まるくらい、怖さの欠片もありませんよ?」
「つまり…、コレはまだ序の口ってこと?」
「そうなりますね♪」

語尾に音符マーク付けて喋んないでよ…。

「ギヤアアアアアアッッッ!!!!」

私は威智悟くんの腕に強くしがみつき、背中にぴとっとくっついた。



「イ゙ヤ゙ーーーーーっっ!!」

女の子とは思えない男っぽい私の絶叫は、出口まで何度も繰り返された…。

「ごわ゙がっだぁ~!」
私はあまりの怖さに泣いてしまった…。

「そんなに泣くほどでした?」
「ゔん゙…グスン…」
「嫌がらせちゃったみたいですみません…」
「ううん……。ハッ!!」

私…、無意識のうちに威智悟くんに抱きついてた…!

「…ごめん!!」

急いで離れた。

「いえ、悪いのは俺っすから…」

威智悟くんが凄い罪悪感を感じてる顔してる…。
そんな落ち込まなくていいのに…。
意地悪なのか優しいのか判んないなぁ(笑)

「もう、帰ろっか…?」

なんか、私の方が悪い事したみたい…。

「はい…」


電車に乗り、席が空いて座るとすぐに、私は眠り込んでしまった…。


数十分後。

「…ん先輩、美寛先輩!!」
「…ん」
「もう着きますよ?」
「ごめん…。私寝てた…?…って!!…ごめん!!」