なんでそんなに、私の事見ててくれるんだろ…。
って私…、自意識過剰だよね。

「そうだね…。ありがと…。ってわけだから、ごめん、葭本、1人でなんかやっといて…」

私はヨロヨロと武道館を出た。
私がしんどい原因が自分だって分かったら、絶対葭本に失礼だよね…。


「…美寛先輩っ」
「…威智悟くん?」

振り返ると、心配そうな威智悟くんがいた…。

「どうして、ここに…?」
「先輩、ヨロヨロしてたんで、思わず飛び出して来ちゃったんっす…」

え…/////

「威智悟くんは部活してていいのに…」
「トイレ行くって言ってあるんで」

ニコッとする威智悟くん…。
これ、わざと…?それとも無意識…?
とにかく君は私を「キュン死に」させるつもりですか…?(笑)

「大丈夫だよ。すぐそこだから…」

遠慮する私に、威智悟くんは構わず保健室に送ってくれた。

「ありがとう♪」
「じゃあ、ゆっくり休んで下さい」

そう言うと、威智悟くんは立ち去っていった。


私はたっぷり寝て、気分はすっかり良くなった。

武道館に戻ると、部活が終わり、片付けをしている途中だった。

「美寛っ!!大丈夫?」

棗が駆け寄ってきてくれた。

「うん。ありがとう。もうすっかり良くなった。…実はね、気分悪くなったの葭本のせいなんだ(笑)」
「知ってる。だって美寛、葭本と打ち始めたくらいから顔色ヤバかったもん(笑)。それよりさ…、春間くんと何があったか話してよ。顔色悪くなったの気づいたのも、美寛を追いかけたのも、春間くんが先だったから、私、乗り遅れたんだから」

棗がニヤける。

私はさっきまでの事を話した。

「ふ~ん♪良かったじゃぁん♪美寛は幸福者だね」
「はぁ~?」
「もうとっくにラブラブじゃ~ん」
「もう、何言ってんの?」
「奥さん、頬が赤いですよ…?」
「どこの誰よ…」

私は頬を覆いながら言った。
棗に話さなきゃ良かった…。


そうして数日が過ぎた。