「違います。さっき偶々入口で会ったんです」

変な誤解されたら春間くん困っちゃうもんね…。

「恥ずかしがらなくてもいいじゃなぁい。2人、お似合いだよ?女の子が歳上っていいと思うよー?」

蘭子先輩まで言ってる。
あれっ?私達のことをそういう風に見てるってことは、蘭子先輩と春間くんの間には何も無いってこと…?
頭が混乱しかけた私は咄嗟に蘭子先輩の腕を掴んで部屋の外に連れ出した。

「何?美寛ちゃんどうしたの?」
「蘭子先輩…」
「なぁに?」
「あの…、蘭子先輩って春間くんと…」
「ん…?」

この後が言いづらい…。

「付き合ってるんじゃないんですか…?」

思い切って聞いてみた…。

「え…!?」
「どうなんですか…?」
「ぷっ(笑)」

急に蘭子先輩が吹き出した。

「へ…?」
「美寛ちゃん、威智悟は私の従姉弟だよ?」
「え?…ええーっっ!?」
「吃驚した?」
「は、ハイ…」

何…?この脱力感…。私は力が抜け過ぎて、その場に座り込んでしまった…。

「でもどうしてそう思ったの?」
「昨日、丁度私が試合に負けて会場の外に出た時、先輩と春間くんが一緒に居たのを見たんです」
「それで付き合ってるって思ったんだ?」
「ハイ…」
「アレはね…、威智悟が美寛ちゃんのこと……やっぱ言ーわない」
「へぇ?途中で話切るなんて気持ち悪いじゃないですかっ」
「いーの。そんなに気になるなら本人に聞いてみたらー?」

蘭子先輩がヤバい顔で笑ってる…。

「先輩…、なんか顔ヤバいですよ…?」
「やだぁ。見ないでよぉ。それより、美寛ちゃん、威智悟のこと好きなんでしょ?」
「え…」

蘭子先輩まさかエスパー??

「図星だ♪」
「ち、違いますっ」
「吃ってるトコが怪しいねー」
「早く戻りましょ?」
「そうだね。威智悟に会いたいもんねー?」
「やめて下さいよっ」
「美寛ちゃん可愛ー♪」

蘭子先輩、私のこと絶対遊んでる…。

取り敢えず中に戻った。

「おぉー、やっと戻って来たぁっ。まさかお前等レズかあー?」

また竹田先輩がマイクを通して叫んだ。

「なんでそーなんのよ」

と蘭子先輩。

「くーっ。妬けますねぇ、なぁ?威智悟?」