エレナが投げたブーケを笑顔で受け止めるルナ。


笑顔だけど、どこか切なそうな顔をしている。


サハルドもルナのことをなんとも言えないような表情を浮かべて見ている。


エレナと兄貴の幸せそうな姿を見るたび、俺はルナとあんな風になりたいと望んでしまう。


恐らくサハルドは俺と同じ感情をルナに抱いている。



ルナに対する想いが膨らむほど、気持ちを伝えることができないことが苦しくて堪らなくなる。


俺には家族しかしらない秘密がある。


その秘密のせいで、誰かと付き合うことも結婚することも出来ないかもしれない。



「せっかくの結婚式なのに、そんなに辛そうな顔してどうしたの?」

『いつもと変わらない』

「そう?最近やっと無表情なソルの変化が分かるようになってきた気がしたのにはずれちゃった。残念」



そういって隣で無邪気に笑うルナ。


ルナは仕草や笑い方や表情、とにかく全てが上品で見ているものを魅了する。


本人はそんなつもりはないだろうが。