今までお城で暮らしてきて、男性に無理やり腕を掴まれる事なんてなかった。


エメラルディアという名前に今までは助けられてたんだ…。


震えていると自覚をしてしまったら、止まるどころか震えは酷くなっていく。



「恐…かった……」



私の頬にソルの手が近付いたと思ったら、優しく涙を拭ってくれた。


王室の者は何があろうと民の前で悲しい顔や辛い顔、泣き顔を見せてはいけないと教わった。


でも、今の私はただのルナ。


そう思うと涙は止まることなく溢れてくる。



『もう泣くな』

「ご、ごめん。泣かれても困るよね」

『俺はお前の泣き顔がどうも苦手らしい。だから笑ってろ。せっかくの可愛い顔が台無しだ』

「ッッ////」



ソルの言葉に一瞬にして涙が止まってしまった。


恥ずかしくて目が合わせられない。


今の私はきっと顔が真っ赤だと思う。