月夜の太陽

怒りに震えるルナが暴れてしまわないように、後ろから腕を掴み引き寄せようとしたが、力いっぱい振りほどかれてしまった。


辺りを見渡したルナは標的を変えたかのようにロナウドさんを睨み付けた。



「ロナウド、貴方知ってたの!?ロナウドだけじゃない、みんな知ってたんでしょ!?」

『いや……うん……まぁ、知ってた、よ…………』

『ロナウドは渋々承諾してくれたんだ。ローズもな』

「お母様も知ってただけじゃなくて手を貸したの!?」

『ローズにはお前を執務室まで私たちを迎えに来るように頼んで欲しいとお願いしただけだ』



ルナは思い出したかのようにハッとした表情を見せると、力なくその場に座り込んでしまった。



『すみません、いまいち状況が把握できないんですが……』



そう言った俺にローズ様が一から説明してくれた。


ロナウドさんと婚約を解消すればロナウドさんが牢に入れられてしまうという事を知ったルナが、俺に別れを告げロナウドさんと一緒になる覚悟を決めた事。


ロナウドさんが自分を殺し自由に生きろと言い、それに対してルナが城を飛び出してしまった事。


そしてそのまま俺に会いにきたんだな。


それを聞いたらルナがここまで怒るのも無理はないと思った。


シエル様も人が悪い。