月夜の太陽

シエル様の肩に手を添え、ローズ様が口を開いた。



「シエル、これ以上私は黙っていられないわ」

『…………』



ローズ様の言葉にも顔を上げ様としないシエル様。


思っている以上に怒っているに違いない。



「シエル、いい加減にしないといくら私でも怒るわよ」



呆れたようにそう告げたローズ様の言葉を聞いて、顔を上げたシエル様は目に涙を為ながら可笑しそうに声を出し笑い始めた。


その様子にローズ様とロナウドさんは苦笑いを浮かべている。


俺たちは顔を見合わせ困惑した。



『全部嘘だ』

「……え?」

『ロナウドとの婚約はとっくに解消されているし、デトイス国との関係も以前よりもむしろ良好だ』



ルナはシエル様をキッと睨みつけ、凄い剣幕で詰め寄った。



「どういうこと!?全部嘘だったなんてあんまりだわッッ!!!!」

『本当の方が良かったのか?』

「そうじゃないけどッ凄く苦しんだのよ!?」

『罰を受けると言ったろ?これでお前とロナウドの罰は終わりだ。身体的な罰よりも精神的な罰の方がお前たちにはこたえると思ってな』