月夜の太陽

黒のドレスに身を包み、綺麗な金色の髪の毛は緩く巻かれ、肌は白く透き通るように美しかった。



「ルナ!?なッど、どうしたの!?1人!?」

「……1人よ」

『護衛も付けづに来たのか!?危険だから止めろと何度言われたら分かるんだッッ!!』



俺の怒鳴り声で余計店の中は静まり返り、客たちの顔はどんどん青ざめていく。


それはそうだ。


普通であれば、この国のお姫様に対してこんな口を聞いていいはずがない。


ルナはドレスをギュッと握り締めながらボロボロと涙を流し、俺の目を捉えて離さなかった。



「ごめんなさい……だけどッッ謝りたかったの…………」

『謝る?』

「沢山酷いことを言った……沢山ッッ酷い態度を取った……ごめんなさい」

『俺はそんな言葉が聞きたいわけじゃない。そんな風にお前に思って欲しかったわけじゃない』



更に涙を流すルナに小さな男の子が近付き何かを差し出した。


目線を合わせる様に屈んだルナに男の子が喋りかけた。



『姫様、泣かないで』

「心配してくれてるの?優しい子だね」



男の子はハンカチでルナの涙をそっと拭き始め、ルナが優しく抱きしめた。



「ありがとう」



ルナの笑顔を見るなり、男の子は母親の元へと走って戻っていった。


そしてルナは再び立ち上がり、さっきまでとは違う強くしっかりとした目を俺に向けた。