月夜の太陽

『私を殺せば、もう何も気にすることなくソルと共にいられる。自分で死ぬ勇気がない私の心臓を一突きにして欲しい』

「……できないよッそんな事ッッ!!できるわけないじゃないッッ!!!!」

『ソルと一緒にいても私を殺したことを忘れられず君は苦しむだろう。それでも私と一緒にいて苦しむよりも、愛するソルと一緒にいて苦しむほうがいいと思う』

「何も死ぬ必要はないじゃないッッ」

『そうかもしれない。だけど、ずっとアマンダ様への想いを胸に抱きながら、未来を夢見ることも許されない生を送るなら死んだほうがマシだ』



やっと整理できたはずの頭は信じられないほど今はグチャグチャで、気持ちの乱れと共に涙腺も乱れたかのように涙が溢れる。



『私を殺したことでウェルヴィアとデトイスの関係が崩れる……そう思っているんだろう?』

「…………」

『それなら心配要らない。今までの経緯と私の思いを綴った文を残してある。証人としてステラも暫くは存在することが出来る』



なんて答えたらいいのか分からなかった。


そんな私に穏やかな笑顔でナイフを差し出すロナウド。



『婚前パーティーが終われば、もう本当に後戻りはできないだろう。ここで一思いに私を殺してくれ』

「…………ッッ」

『これが最後のお願いだよ。いや……最後の無理強いだね』



そんな顔しないで……そんなに優しくて柔らかくて……何かを悟ったような目を向けないで…………。