月夜の太陽

戸惑っていた気持ちを落ち着かせると、私はロナウドを睨みつけた。


だけどロナウドは微笑んだまま話を始めた。



『そんな顔をされるとルナに嫌われていたときの事を思い出すよ。あの時はそんなに気にしていなかったけど、今は違う。少し傷つくよ』

「意味の分からないことをするからでしょう。それもこんなにおめでたい日に」

『私はルナと結婚しなかったら牢に入れられ死ぬまで独り孤独に生きていかなければいけない。私がそうならない為に結婚してくれる。そうだろう?』

「……そうよ。だけど、ロナウドの事が好きじゃなかったらこんな決断はしなかったわ」



私の膝の上に置かれている箱に入ったナイフに触れ、彼は悲しい笑みを見せた。



『友として好きだと言ってくれる事は本当に嬉しいよ。だけどルナは悲しい想いをしている。私と結婚してしまえば、ソルが生きている限りその辛く悲しい想いは無くなる事はないだろう』

「このナイフで……ソルを殺して少しでも心を軽くしろと言いたいの?」

『違うよ。ソルじゃない……私を殺すんだよ』

「……え?…………」



信じられない言葉にかたまり驚いていると、気付けばロナウドの手が頬に添えられていた。



『…………泣いたんだね、昨日』



視線を落とした私はナイフに映る自分の顔をそっと撫でた。


こんな顔してるんだから気付かれてもしかたがないわね……。