少しでも眠ろうとあれからベッドに潜り込み努力はしたが、全く眠れなかった。


鏡に映る顔はやつれていて、覇気がない。


これが本当に自分の顔なのかと疑いたくなる。



「差し出がましいかもしれませんが、本日のパーティーを中止することはできないのですか」

「……無理よ。どうにか化粧で誤魔化せないかな?」

「……お任せ下さい」

「ありがとう」



いつもは自然な化粧をしているが、今日はパーティーだ。


それも結婚前の大切な。


そんな日に多少化粧を濃くしていたとしても不思議に思う人はいないはずだ。


鏡越しにラキの顔を見ていたら、私の視線に気付いたラキが安心させるような穏やかな笑みを見せた。


体と唇にソルの感覚がまだ残っている。


瞳には彼の姿が、耳には彼の声が焼きついている。


彼も私と同じなんだろうか……こんな状況に置かれていてもそうであって欲しいと思ってしまう。