リオはいつもの柔らかい雰囲気を纏ったまま、私の肩に触れるくらいの距離に腰を下ろした。



「まだ……泣いてないよ」

『何があったの』

「…………」

『今回も僕には言えないこと?』



「違うよ」と言いたいのに、今口を開いたら泣いてしまいそうで喋ることができなかった。


だけど首を横に振って違うと表すとリオはそっと頭を撫でてくれた。


落ち着いて話が出来るように何度も何度も深呼吸をした。


そんな私の背中をリオはずっとトントンっと優しく叩いてくれていた。


ソルの手をギュッと握り私は口を開いた。



「私もまだ混乱していて……だけど、このままだと私のせいでロナウドが辛い目にあってしまうの…………」

『辛い目にあう?』



私は執務室でお父様とロナウドが話していた内容を涙を堪えながら一生懸命話した。


リオはそんな私を急かすことなく隣で口を挟まず相槌を打ちながら聞いてくれる。


ソルと繋がっている右手からは不安が、リオと繋がっている左手からは安心が体に流れ込んできているみたいで、とても不思議な感覚に包まれていた。