月夜の太陽

男と向き合うように、だけど違和感があるくらいの距離を保つように体を向けた。



『カイン・アレイストロ………』

『レイドの魂はもう存在しない』

『存在しない?』

『魂を分離させた時、お前の力がまだ残っているようだったからそのまま別の術をかけさせてもらった。お前の体には負担が大きかったようだがな』



この男がいなかったら俺はどうなっていたんだろうか。


レイドを殺すことも出来なかったかもしれない。



『ビリー様は………』

『さぁな、そこまでは俺は責任を持てない』

『勝手に出てきておいて最後まで勝手な奴だな』



俺が可笑しそうに顔を歪めても、この男は眉一つ動かすことなく表情は全く変わらない。


話には聞いていたが理由を知っているせいか、泣きそうになってしまう。


今回の件で笑うことの大切さを知り、温もりを知り、余計にこの男の生い立ちを酷く辛かったものだったと思わずにはいられない。