月夜の太陽

何も聞こえない……何も感じない……体が軽い…………。


だけど、恐怖はない。


そっと胸に手を当てるとまだ動いていて、しっかり呼吸もしている。


不思議な感覚の中ゆっくりと目を開くとそこにはただただ真っ暗な世界が広がっていた。


体は浮いているようだった。



『死んだのか……俺は』



生きているのか死んでいるのかも分からないなんて可笑しな話だ。



『生きるも死ぬもお前次第だ』



頭の中で響いていたのと同じ声が後ろから聞こえてきた。


振り返るとそこには金色の髪に金色と銀色の目をした男が立っていた。


いつも鏡で見ている自分とそっくりで驚いた。


似ている…だが、どこか陰のあるような男だった。