月夜の太陽

俺の体を貫いた剣を握っているレイドの腕を掴み、グッと奴の体をより近くへと引き寄せた。



『レイド、もう茶番は終わりだ』

『お前が死ぬからな』

『そうかもな……でも、お前も死ぬんだ』

『何をッッ』



離れようとするレイドの体を制止し、心臓へと手を押し付けると頭の中で知らない呪文が唱えられた。


意識はあるのに俺の意志とは関係なしに口が開き言葉を発している。


頭がぼやけたまま力を込めると突風が起こり、大地はざわめき心臓が締め付けられるような感覚に陥った。


ルナ……お前の笑った顔が見たいのに、何故か泣き顔が浮かんでしまう。



『………ルナ』



そう呟いたのを最後に、意識は途絶え俺は強制的に夢の中へと引きずり込まれた。