月夜の太陽

闘技場の壊れた壁が見えてきた。


その傍にはレイドがいて、奴も俺の存在に気付き目で挑発している。


冷静に戦っても勝てるかは分からないというのに、さっきの様に感情的になってしまったら俺は奴には勝てない。


あくまでも冷静を努めようとグッと感情を抑え込んだ。


俺は力を両手に込め、レイド目掛けて走った。


レイドが繰り出す術を今度は避けずに全て弾き返しながら奴へと詰め寄る。


だが、サイドから流れるように打たれた玉を弾くことも避けることも出来ずに、体で受けてしまい客席へと激突してしまった。



"レイドの動きだけではなく周りもよく見ろ"

『ｯｯあぁ』



ジャリッという音が聞こえ、顔を上げるとレイドが俺を見下すように立っていた。



『独り言か?死の恐怖で頭が可笑しくなったか?』

『お前程じゃない』

『口の減らない餓鬼が』



剣先を前に向けたレイドはそのままの態勢で俺に向かってきた。


そして、その剣は見事に俺の体を貫いた。