剣は銀で出来ているせいか傷口は塞がらず、傷口をきつく押さえても血が止まらない。


冷静にならなければいけない場面なのに、俺の頭は混乱しどうすればいいのか分からなくなっていた。



「銀で…刺されるのって、辛いッね………」

『なに…言って………』

「ごめッッ…勝手、に……でもッッソルが、無事でよか…ッた…………」



今にも泣いてしまいそうな俺とは打って変わって、ルナは満足気な優しい笑みを零していた。


俺の頬に片手を添えると顔を近付けほんの一瞬唇を重ね、頬の手がずり落ちると同時にルナの体はずっしりと重くなった。



『ルナッッ』

「…………」



返事をすることなく力なく微笑むルナはそのままゆっくり目を閉じた……。



『ルナァァァァッッッッッ!!!!!!!!!!!』



俺たちを覆っていた砂塵は一気に散り、客席と上空が綺麗に見えた。


俺の頭の中も綺麗なくらい真っ白で、考えようとしても何も浮かばなかった。


そんな事よりも抑えられない感情で可笑しくなってしまいそうだった………。