砂塵が煙幕の様になっていてなかなか視界が綺麗にならない。


俺は息を潜めて前後左右と意識を集中させるほかなかった。


不安と焦りで心が乱れてきているが何とか落ち着かせようと努めていると、後ろから気配を感じ振り返るとさっきまでレイドが放出していた丸い光の玉がこちらに向かって飛んできていた。


手に力を集中させ丸い光を弾き返すと、また直ぐ後ろに違う気配を感じ急いで振り返ったがもう目の前まで銀色に光る剣が迫ってきていた。


せめて急所は避けなければと思い、体を捩った時だった……体に衝撃が走り俺は地面に倒れこんだ。


だけどそれは剣が刺さった衝撃ではなく、何かにぶつかられた様な衝撃で慌てて体を見ると、そこには俺に覆いかぶさるようにルナが倒れていた。



『………ル、ナ』

「怪我……してない?」



力なく笑うルナのお腹には銀色の剣が刺さっていて、血が剣を伝い剣先からぽたぽたと血が流れ落ちている。


ルナは自分の手を背中に回し、剣を掴むと苦しそうな表情を浮かべ自分で剣を勢いよく引き抜いた。


お腹の傷を押さえながら力尽きるように前に倒れるルナの体を支え、背中の傷を押さえ抱きしめた。