徐々に体から力を放出し始めたレイドからひしひしと力が伝わってくる。


まだ全然力を出していないはずなのに、俺よりも力を蓄えていることが何故か分かる。


そんなに動かしていないはずの体は汗で湿りを帯び、頭からは流れ落ちそうだ。


俺は剣を強く両手で握り、再びレイドに立ち向かった。


だがやはりレイドは軽く受け止め、余裕の表情を浮かべている。



『しょうがない、もう少し遊んでやる』

『イメージと違った。案外お喋りだな』

『多少体の影響かもな』



ビリー様の影響?


魂がまだ残っているということなのか?


それとも脳が覚えているということなんだろうか。


考えたいことは山ほどあるが、今はそんな事を考えている暇がない……。


左手を剣から離しレイドの腹に押し当て攻撃の呪文をかけた。


レイドの体は少し後ろに吹っ飛んだが、上手く受けたのか傷一つ負っていなかった。


剣を交えながらの術がこんなにも体に疲労感を与えるとは思ってもみなかった。