走りながら腰から剣を引き抜き、レイド目掛けて振り下ろした。


レイドはやはり戦闘には慣れているようで、剣の扱い方も俺とは比べ物にならないくらい違和感がなく自然だった。



『顔はそっくりだが、キングの足元にも及ばないくらい弱いな』

『黙れ』

『それに、まだ誰も殺したことがない。そうだろ?』

『黙れッッ』



振り落とされた剣を間一髪のところで受け止めたが、思ったよりも力が強く体が浮きそのままの勢いで壁に背中を叩きつけられてしまった。


痛みが走った直後一瞬呼吸ができなくなり、地面につけた足がふらついた。


不敵に笑うレイドはゆっくりと歩いて近付いてくる。


急いで殺さなくてもいつでも好きな時に殺せるとでも言いたげに見えた。



『お前はその剣の価値を理解しているのか?まともに扱えもせずよくもそんな物騒な剣を持つ気になったな。使い慣れない武器は命取りになるぞ』

『敵の心配してくれてんのかよ』

『めでたい奴だ。温い環境で育ったんだろうな、お前は』



赤く鋭い目はあざ笑うかのような冷たい目をしていた。