『ルナと一緒にいたいと心から思うのなら、もうそんな顔はするな』

『…………』

『そう簡単に割り切れることではないだろう。だが、お前はお前だろう』

『…はい』



シエル様の言っている意味はよく分かってる。


俺は俺であって父親も母親も関係ない。



『そんなに父親がした事を許せないと言うのなら、私の愛する娘を幸せにしてやってはもらえないだろうか』

『……シエル様』

『娘の幸せを人任せにするというのは何とも言えない辛さだな。だが、ソルといる時のルナはとても幸せそうな顔をしている。街になど行かせなければよかったと後悔しているよ』



シエル様の切ない笑顔に思わず俺も笑ってしまった。


ローズ様の言っていた通り、もう後戻りは出来ない。


だったら、前に進むために俺も成長しなければいけない。


せめて、俺のせいで苦しんでいる人たちを1人でも多く救えるように。



『シエル様、ありがとうございます。もう、ルナに辛い思いも悲しい思いもさせないように傍にいます。守ってみせます』

『あぁ』

『これから宜しくお願いします』



その時見せてくれたシエル様の温かい表情は絶対に忘れないだろう。