肩にひんやりとした感触がして目を向けると、目を赤くしたルナが立っていた。


正直戸惑った。


今ルナを突き放す勇気も、愛するものを失う覚悟もない。


気が付けば俺はルナの頬を包み込んでいた。



「貴方が今何に囚われているのかも何を迷っているのかも今の私には分からない。貴方を渦巻く全てのものなんて私には関係ないの…だってソルが好きなんだもの」

『ルナ……だけど、自分が犯した罪でなくとも親の罪は俺の罪だ。例え顔も知らない父親だとしても』

「私の事、嫌いになってしまったの?」

『そうは言ってない』

「だったら、また言って…あの時みたいに。その罪を抱えて生きていくというなら、私も一緒に抱えて生きていくッッだから……」



ルナの潤んだ目は俺の目を捉えて離してくれない。


俺の手を伝ってルナの涙が零れ落ちていく。


ルナの背中に腕を回すと落ち着く香りが鼻をくすぐる様だった。



『ルナ…愛してる』

「ッッ傍にいさせてほしいの」

『傍にいてくれ』



俺たちは時間を忘れるほど、抱きしめあっていた。


そして気付いた、こんなにも俺の中でルナが大きな存在になっていたことに。