月夜の太陽

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食事の時間も終わり、部屋に戻った俺は1人で外を眺めている。


同室の兄貴は図書室に行ってしまった。


本が好きだからだろうけど、俺に気を遣っているところもあるんだろうな。


ここから見る景色は街にいたら絶対に見れないような綺麗な眺めだ。


俺が今ここにいることが不思議で堪らない。



コンコンコンッッ


『はい』

「私…だけど……入ってもいいかな」

『………あぁ』



遠慮がちに開いたドアからルナが姿を見せた。


綺麗なドレスに身を包んだルナ。


未だに見慣れない姿だが、見とれてしまいそうなほど綺麗だと思う。



「……座ってもいい?」

『あぁ』



俺は窓際の椅子に腰掛け、ルナは少し離れたソファーへと腰掛けた。


このちょっとした距離が酷く深い溝の様にも見えた。