お母様は微笑みながらソルの顔を捉え、優しく声を掛けた。



「そんなに辛そうな顔をしないで」

『…………』

「カインは間違いなく純血だった。だけど、彼は自分がどこの誰かも両親が誰かも分からないまま育ったのよ」

『えっ?』



ずっと俯き眉間に皺を寄せていたソルが驚き顔を上げた。



「ジオラさんって覚えてる?」

『俺を助けてくれた人、ですよね』

「カインは子供の時にジオラさんに引き取られたのよ。そのジオラさんに自分には幼い頃の記憶がないと話したことがるそうよ。ジオラさんにとってカインは本当の子供同然だった。だけど、そんなカインを私は殺してしまったの……」



お母様の言葉に涙が一気に引いてしまった。


darkmoonが滅びたのはお母様がキングを殺したからなんだろうか……。


こんなことならもっとしっかり歴史を学んでおくべきだったと思う。



『殺されて当然の事をしてきたんですから、ローズ様は正しいことをしたんだと思います』



お母様は切ない笑みを浮かべ、首を横に振りソルの言葉を否定した。