月夜の太陽

お父様とリオが話を進める中、私は口を挟んだ。



「彼らはロナウドが倒れていた離れに入り浸っているって聞いたわ。ビリー様お抱えの商人なの」

『奴らの姿はなく、離れは蛻の殻だったそうだ』

「そんなッ」



居場所も分からないのにこれからどうすればいいの。


やっぱりお城にお邪魔したときに何か手を打っておくべきだった。


今頃になってそんな後悔に襲われた。



『それなら問題ないよ。お店の裏口にも奴らの仲間の気配を感じたんだけど、わざと気付いてないフリを決め込んで逃がしたんだ。逃げた奴らをサハルドが後をつけてくれてるから、大まかな居場所は分かるはずだよ』

『サハルドと連絡は?』

『まだだけど、緊急事態の合図もないから問題なく任務を遂行してるんだと思う』

『そうか、まぁサハルドなら問題ないだろう』



サハルドは父親のエルグラムの才能を受け継いでいるらしく、戦闘や尾行に関しては天才的だ。


私たちはいったん一息するかのように、それぞれカップを口に運んだ。


そんなにまだ話はしていないが、多少緊迫した雰囲気のせいか異常に喉が渇く。