月夜の太陽

『ルナが何も話をしてくれないから自分で調べようと思ったんだ。調べるなら城にいるより、ルナがいた環境を知るほうが早いと思った。だから父様にお願いして街に行く許可をもらった』



さっきもそうだったが、今までお父様と呼んでいたはずが、知らないうちに父様と呼び方が変わっている。


今は関係ないが、それがなんだか少し寂しく感じた。



「1人で街に行ってたの?」

『いつもサハルドと一緒にリリアさんのお店に行ってたんだよ』

「ならサハルドは今どこにいるの?」

『今日は別行動。ソルとちゃんと話がしたかったからね。だけど邪魔が入ったんだ』



ビリー様が送り込んだ刺客のことだ。


リオがいなかったらどうなっていたんだろう。


そう思うだけで恐ろしくて震えてしまいそうだ。



『どんな奴らだった』

『陰湿そうな奴らだよ。手がかりになるようなものは見につけていなかったけど、気になるものを見つけたよ』



奴らのことなら本当はビリー様に聞くのが一番だと思う。


すんなりとは教えてくれないだろうけど。



『全員ではないけど、手の甲に火傷の痕があった。混血であれば何度も繰り返し焼けば痕がつく。何故そんな事をする必要があったのかは分からないけれど』

『辛い思いをしてでも消したい何かがそこには描かれていたのかもしれないな』