突然ロナウドに手を握られ驚いた。


そっとと言うよりも、少し強張ったような感じで……。


そして、私にしか聞こえない様にこう口にした。



『彼らと目を合わせないで』



ロナウドの言葉に頷き、そのまま下を向いたまま彼らの横を通り過ぎた。


背中には痛いほどの視線を感じる。


珍しい者に興味津々というよりも、物色するような視線。


とても気持ち悪く嫌な感じ。



『ここだよ、どうぞ』

「あ、うん」



ロナウドが部屋のドアを開けてくれ、そのまま一緒に中へと足を踏み入れた。



『彼らとは目を合わせないようにして欲しい。勿論挨拶なんてしなくていいから』

「えっ?」

『彼らは父のお抱えの商人なんだ』

「なら、一度くらい挨拶をした方が……」



私の言葉を遮るかのように、ロナウドは首を横に振った。