月夜の太陽

そんな私たちの様子を見て、今度はイエラ様が可笑しそうにクスクスと笑い出してしまった。


目を細め、穏やかな顔をしているイエラ様は、まるで我が子の幸せを心から喜んでいるように見えた。



「随分仲が宜しいのね」

『はい』



こんなに幸せそうなイエラ様の様子を見てしまうと、偽りから始まった婚約でも、少しでも幸せにならなければいけないなと思った。



「ルナ様」

「は、はい!!」



イエラ様は両手で私の手を包み込む様に握りしめた。


私もその手をそっと握り返す。



「まだまだ未熟者の息子ですが、これからもどうか末永く宜しくお願い致します」

「イエラ様……いいえ、私の方が未熟者ですから、たくさんロナウドに迷惑をかけてしまうと思います。これからは喧嘩もするかもしれません。ですが、イエラ様に温かく見守って頂けたら嬉しいです」

「ロナウドと喧嘩をした時はいつでもお話下さい。私はルナ様の見方でございますから」



その言葉に私とイエラ様はともに笑い合った。


横で項垂れているロナウドを見て更に笑い声は大きくなる。


なんて素敵なお母様なんだろう。


イエラ様とはとても良い関係が築けそうだなと思った。