今は私たちだけしかいないからか、ロナウドの表情がどんどん穏やかになっていく。



『ラキはルナの幼少からの教育係を務めていて、第二の母親のような存在だと聞きいているよ』

「はい」

『ルナの大切な方なら尚更私に案内させて欲しい』

「ですが……」



それでもまだ躊躇いを見せるラキの手を、空いている方の手で握った。



「ルナ様!?」



ラキの驚いた表情を久しぶりに見たかもしれない。


ラキと手を繋いだのは子供のとき以来。



「時間が勿体無いでしょ。早く行こう」



私を真ん中に、隣にはロナウドとラキで並んで歩いている。


それも手を繋いで。


さすがに使用人たちは少し驚いた顔をして私たちを見ていた。


でも、悪い事をしていないのなら周りの目を気にすることはないとお父様たちに言われて育った私は、素知らぬ顔で部屋まで歩みを止めなかった。