『そんな顔をしていたら、みんなに心配をかけてしまうよ?特にフィズにね』

「…うん」

『さぁ、フィズに元気な笑顔を見せておいで。調理場で凄く心配そうな顔をしてこちらを見ているから』

「えっ!?あっ本当だ!!」



笑顔でエレナが駆け寄っていくと、兄貴は心配そうな顔から安心したような顔に変わった。


リオは周りを良く見ているし、他人の心を思いやることや和ませることに関しては凄いと思う。



『ソルは顔に出さなさすぎだよ。もう少し周りを頼ればいいのに』

『頼ることが無い』

『本当に?』

『あぁ』



俺の顔を見て見透かしたように笑うリオ。


リオにこんな態度を取られても不思議と嫌ではないし、イラついたりもしない。


これがサハルドだったら確実に険悪な雰囲気になっている。



『心はそう思っていないかもしれないよ?もう少し自分の心を解放してあげるべきだよ』

『だからそんな必要はないと言っているだろ』



俺の言葉はお構い無しに話を続けるリオ。



『誰かを頼ることは決して悪いことではないよ。むしろ知らん振りを決め込んでいると、知らない内に後悔ばかりが増え、大切なものも失ってしまう…かもしれないよ』



そう言うリオは、何もかも知っているような口ぶりで、いつもの笑顔と違って見えた為、目を逸らすことができなかった。