『近いうちに私たちの婚約の事を、国民の皆さんにご報告しようかと思っています』

「そうですか、全てお任せ致します」

『ルナ』

「…………」



さっき決めた事なのに、名前を馴れ馴れしく呼ばないで…と思ってしまう私がいる。


返事もしたくない程、嫌で堪らない。



『ルナ』

「………はい」

『私を怒らせないでくれますか?何をするか分からないですよ』

「気をつけるように致します」

『はぁ…今日はまぁいいです。ですが、次にお会いした時にまだ同じ様な態度であれば、私にも考えがあります』



ロナウドは呆れたような顔を見せ椅子から立ち上がった。


私は立ち上がる気力もなく、座ってお茶を飲んでいるとロナウドは私を見下ろし口を開いた。



『愛する婚約者を見送りもせずに、帰らせるおつもりですか?』

「これは失礼致しました。お見送りさせて頂きます」



笑顔を向け立ち上がる私を見て何か言いたそうだったが、ロナウドは何も言わずに私と並んで歩き始めた。


やっとロナウドから解放されると思えば、私は喜んでいつでも見送りくらいするだろう。


名ばかりの婚約者どころか、私は婚約者だと言うこの男が憎くてしょうがない……。