*****


あまりぐっすり眠れなかった。


昨日の出来事は夢…だったんじゃないかって思う。


でも、今日からルナはもうここへは来ない。


恐らく、もう二度と来ることはないだろう。



『ルナ……』



ルナの名前を呼ぶだけで胸が張り裂けそうだ。


あの様子だと、自分で決めたが家の都合でそう決めざるおえなかったんだろうなと思う。


本当はルナの手を取って、二人でどこか遠くへ行ってしまいたかった。


でも…そんな方法で一緒になってもルナを悲しませるだけだと思うと出来なかった。



『これで…良かったんだ。お互いの事を思うと……』



エレナから、ルナはお嬢様だと聞いたことがある。


そんな家のご両親が、誰の子供かも分からず容姿も可笑しな俺をよく思うはずがない。