「家の都合…と言うか、婚約者の都合…かな……」

『……婚約者?』

「最近…婚約したの」

『自分で決めたのか?』

「そうだよ。そうする事が私や家のためにもなると思ったから……」



重たい空気に包まれる。


草や木、花が風で揺れている音がするだけで、とても静かだ。


その静けさのせいか、私の心は落ち着かない。


今にも本当の事を言ってしまいそうなくらい。



「ねぇ、ソル…」

『…何だよ』

「私の…血を、吸ってほしいの………」

『ッッ!?』



ソルのこんなに驚いた顔を初めて見た。


そうだよね…普通は婚約者の話をした後にこんな事言わないよね。


それに、好きな男性に女性からこんな事を言うのは、とても勇気がいるし恥ずかしい事だと思う。


自分が誰かにこんな事を言う日がくるなんて、思ってもみなかった。