最後のお店での仕事も終わり、今日もいつも通りサハルドとお城へ帰って来た。


お客さんもエレナもフィズさんも知らないから、みんな「また明日」と笑顔で見送ってくれた。


泣きそうな気持ちを抑え、私は笑顔で手を振って帰って来た。


帰りのサハルドの背中でも私は涙は流さなかった。


まだ、私の仕事は終わっていない。


まだ、涙は流せない。



いつも部屋へ戻るとすぐに着替えていたけど、私はまだただのルナの姿のまま。


ソルのことを考えると、私の正体は明かさないほうがいいと思った。


できるだけ危険な目に合わなくていいように。


本当は私の全てを知って欲しかった…だけど、もうその願いは叶わない。



「そろそろ行かなきゃ…」



勿論家族やサハルドには秘密。


気配を断ち誰にも見つからないように、前使った抜け穴へ向かった。


愛しいソルに会うために……。